外部配信のすすめ

Webメディア収益化「外部配信」のすすめ

更新日:2024年6月10日

インターネット上にはユーザーが求めるコンテンツの作成方法や収益性の高い広告などの情報は見つけることができますが、「外部配信」について詳しく説明された情報はあまり見かけません。

そこでエンジニアである筆者は、数々のWebメディア開発を行い、外部配信先との調整を経験したことから、メディア運営者様に意外と知られていない収益化のノウハウを解説したいと思います。

外部配信ってなんだろう

Webメディアの記事コンテンツを Yahoo!ニュースなどのニュースポータルサイトやグノシーなどのニュース・キュレーション・アプリで閲覧できるようにすることをコンテンツの「外部配信」といいます。

膨大なユーザー数を持つ外部サイトに記事コンテンツを掲載することで、掲載先から新規ユーザーのリンク流入が期待できるなど、様々なメリットがあります。

ここでは、外部配信の方法や効果を上げるコツについて詳しくご説明いたします。

外部配信で収益を増大させる

広告収入を増やすには、ページビューを増やさなければなりません。ページビューを増やすには回遊率を上げるなどの施策も考えられますが、やはり原資となるユーザー数を増やす必要があります。

SEO 対策などで検索流入に期待することも考えられますが、そもそもWebメディアとしてサイトのパワーを獲得するためには、多数の有力な外部サイトにリンクしてもらうなど、労力もコストもかかるものです。

そこで外部配信を行うことで、配信先ページからのリンク流入により、新規ユーザーの獲得やPV増が期待できます。配信先はユーザー数が数百万人規模のニュースポータルですので、そのごく一部のユーザーでもリンクから流入すれば大きな成果となるはずです。

また、仮に外部配信先からのリンク流入が期待通りではなかったとしても、ニュースポータルが持つ圧倒的な数のユーザーの目に触れることで、Webメディアとしての知名度、ブランド力向上に役立ちます。

自社の記事コンテンツは外部配信できるのか

外部配信は思わぬ理由で叶わないケースがあります。それは主にWebメディア側の理由によるものと、記事コンテンツを受け入れる配信先の理由があります。

まずWebメディア側の理由として多いのは、記事コンテンツの文章や掲載する写真等の画像に第三者の著作権があり、その著作者との契約に外部配信先での記事コンテンツ掲載に関する取り決めが含まれない、かつ著作者への許諾が得られないというケースです。この場合は著作者との協議を行うなど権利問題を解決してから再検討することになります。

こういった社内の規約・契約の問題で外部配信の検討が中断するケースを避けるため、外部配信先の配信利用規約や配信契約等の内容について自社の法務担当者等に予め問題が無いか、念のため確認しておきましょう。

また、詳しくは後述しますが、予算等の関係で外部配信に必用なフィード開発ができないといったケースもあります。

次に配信先の理由によるものとして掲載基準、つまり配信先のポリシーに反する内容の記事コンテンツが含まれるケースです。著作権侵害や信憑性に乏しい記事、専門家の監修のない医療系の記事配信を禁止するなど、ほぼすべての配信先で同様のポリシーがありますので、自社の記事コンテンツがポリシーに反していないか予め確認しておきましょう。

以上の問題が無いことを確認できたら、概ね外部配信できると考えてよいでしょう。

外部配信先の選び方

ユーザー数の多いニュースポータルというのが一つの選択肢です。以下の表は 2022年9月時点での Google Play より、アプリのダウンロード数を調べたものです。あくまでもボリュームを把握する参考としてください。グノシーとニュースパスそしてLUCRA、dmenuニュースとgooニュースは同一配信先となるため合算して順位付けしてます。

2023年9月時点の Google Play より
順位ポータル名参考ダウンロード数
1位LINE(※ニュース単体ではありません)500,000,000
2位スマートニュース50,000,000
3位グノシー、ニュースパス、auサービスToday25,000,000
3位Yahoo!ニュース10,000,000
4位dmenuニュース、gooニュース5,100,000
5位Microsoft ニュース5,000,000

上記データはあくまでもAndroidアプリのダウンロード数ですので、Webブラウザでの閲覧数を考慮すると、自社サイトへのユーザー流入を目的とした場合は、Yahoo!ニュース、dメニューニュース、gooニュースなどポータルサイト系が総合的に優位と考えられます。

別の視点となりますが、ユーザー数が多いポータルサイトでも、ユーザー層が違えば配信したコンテンツが読まれるか否か変わってきます。あまり規模にはこだわる必要もなさそうで、むしろ配信を受け付けてくれるところには積極的に配信すべきです。

また、外部配信先サイトの仕組みの違いから、自社メディアへのユーザー流入数の違いがあります。

グノシーやスマートニュースなどキュレーション系は3日~2週間程度の間に公開された新しい記事コンテンツを推奨して表示するのに対し、Yahoo!ニュース、dメニューニュース、gooニュースなどポータルサイト系は、場合によっては制限なく古い記事も表示されます。これにより、ユーザーが閲覧できる記事数が圧倒的に多いため、自社サイトへのリンクによる流入数が優位に多いことが予想されます。

よって、はじめて外部配信する場合は、最初にポータルサイト系の外部配信を検討する方が費用対効果が高いと考えられます。

どれくらいの成果があるかを想定する

外部配信のメリットのひとつ、配信先ページからのリンク流入がどれだけあるか、その流入の価値はいくらになるのかを想定します。
そこで、次の4つの主なリンク流入を想定してみましょう。

  • 記事内リンク
  • 関連記事リンク
  • 自社広告リンク
  • ロゴ画像リンク

はじめに、記事の内容、本文の長さ、配信先のページ構成やユーザー属性など様々な条件でクリックの傾向が変わることをあらかじめお断りしておきます。

まず、記事内リンクは最もクリックされるリンクになります。クリック率(CTR)は 10 ~ 20% 程度ですが、配信先により記事内リンクが原則禁止されている場合がありますので注意が必要です。

次に関連記事リンクは多くの場合、記事本文の直下にあるためクリックされやすく、クリック率(CTR)は 5 ~ 10% 程度です。ユーザーはその記事に関心があり閲覧しているため、その記事のカテゴリーや内容の関係性が近いほどクリックされる可能性が高まります。

自社広告リンクは配信先によって提供されていない場合がありますが、クリック率(CTR)は 0.1% 未満とあまり効果を期待できません。ロゴ画像リンクも配信先によっては画像のみ表示で、リンクになっていない場合もありクリックは期待できませんが、自社ブランドの認知を広める効果がありますので、極力見栄えの良いロゴ画像を提供するようにしましょう。

配信先からのリンク流入数

最も効果が期待できる記事内リンクは配信先で禁止されている場合あるため、関連記事リンクのみ、クリック率(CTR) 5 ~ 10% とすると、ひとつの記事が配信先で公開された期間 10,000 ページビューあたり 500 ~ 1,000 の流入となります。

仮に一日 5 記事を配信し、公開期限を30日間とすると、配信先では常時 150 記事が公開されていることになりますので、配信先での総ページビューが 1,500,000 として 75,000 ~ 150,000 の流入が期待できることになります。

リンク流入による収益

リンク流入された記事ページがネイティブアド、アドテク、純広などで構成されている場合、1 ~ 3 円程度の収入を得られる場合があります。またサイトがサブスクリプションモデルの場合は、流入したユーザーからの入会や購買など広告以外の収益が得られる場合もあります。

継続的な試行錯誤も必要

記事の本数にかかわらず、多くのユーザーに閲覧してもらうには、やはり配信先ユーザーの特性にあわせ、内容、配信時刻などを工夫して行く必要があります。より多くの収益を生むためには、流入ページの広告選びやレイアウトなどにも影響してきます。 結局は少々長い目で PDCA を回しながら改善して行くことが非常に重要になります。

外部配信を開始する方法

配信先によって違いはあるものの、概ね次のような順番になります。

  1. 配信先に申請またはメール等で問い合わせる
  2. 配信先による媒体審査
  3. 審査が通ったら契約締結
  4. Webメディア側で配信先向けのフィードを用意
  5. 配信開始

多くの配信先へは Webメディア運営者側から配信希望を申請しなくてはなりません。まずは配信先の担当窓口に連絡するところからはじめます。配信先による審査や配信開始までの手順、期間などは配信先によりまちまちですので、都度問い合わせる必要があります。

配信開始までの一番のハードル「フィード」の用意

この中で金銭的にも時間的にも負担が高いのが、配信先の仕様にあわせたフィード開発になります。フィードとは自社の記事を配信先に自動で提供するための仕組みで、配信するために必要なフィードは配信元である Webメディア側で用意しなければなりません。しかも配信先ごとに決められた形式があり、複数の配信先に共通して利用することはできません。

フィードは自社に Webプログラマーなどエンジニアがいない場合、Webシステム開発会社などに外注する必要があります。

  1. Webメディア運営者側で要件定義書(何のために、何を、どんな仕様で、いつまでに)という資料を作る
  2. フィード開発が可能なシステム開発会社等を場合によっては数社選定する
  3. 選定先に要件定義書を送付し開発に必要な金額と期間の見積もりを提示してもらう
  4. 外注先から要件定義の不明点などについて質疑応答がある場合も
  5. 外注先が決まったら契約締結、発注などを行う(一部前金が必要なこともある)
  6. フィードが完成したら要件定義通りになっているか確認し検収する
  7. 外注先より請求書を受領し支払いする

外注先に新規フィードを作成してもらった後に、配信先より修正依頼されたり、配信先の仕様変更などが原因で、再度開発が必要になってくる場合があります。そのため、フィードを開発した外注先とは今後の追加開発や、長期の運用契約についても検討しておくとよいでしょう。

配信先向けのフィードを簡単に用意する方法

ここまで外部配信のメリットや方法を説明してきましたが、一番大きな壁が配信用フィードをどのように準備するかです。フィードの準備には大きな費用と時間がかかるため、お試しで外部配信してみるわけにも行きません。そこで「cuerda™ プラグイン」の導入を検討してみましょう。

cuerda™ プラグイン」とは

cuerda™ プラグインを使った場合の比較表をご覧ください。前述した <配信開始までの一番のハードル「フィード」の用意> のほとんどが不要になるばかりか、多数のメリットがあります。

cuerda™ プラグインのメリット
メリット 通常開発 cuerda™  補足説明
要件定義書の作成が不要か ×(必要) 〇(不要) 外部配信先との手続きに専念できる
開発会社の選定が不要か ×(必要) 〇(不要) cuerda™ に申し込むだけ
見積もりを取らなくてよいか ×(必要) 〇(不要) 月額固定料金
契約書の取り交わしが不要か ×(必要) 〇(不要) 利用料金を払うだけ
初期開発費が不要か ×(必要) 〇(不要) 初期費用は不要
開発の待ち時間が不要か ×(必要) 〇(不要) プラグインをインストールすればすぐ使用可能
会計処理が簡単か △(金額による) 〇(毎月の経費) 無形減価償却資産の均等償却は不要

このようにcuerda™ プラグインを使用すれば、初期コストをかけず、すぐに配信フィードを用意できるため、外部配信の計画に支障をきたすことも避けられます。何より、外部配信を開始したものの、想定通りの効果が期待できない等の理由で外部配信を停止することとなった場合でも、無駄な支出をしなくて済みます。

cuerda™ プラグインを詳しく見る

外部配信で収益を高める具体的な方法

記事公開タイミング

外部配信先から自社サイトへユーザーが流入するほど利益になると考えられますので、まずは外部配信先でたくさんのユーザーに記事を見てもらう必要があります。

どのサイトもそうですが、曜日や時間帯、気候などで閲覧中のユーザー数が違います。外部配信先のユーザー層によって違いはありますが、朝7時台、昼12時台、夜22時ごろに閲覧ユーザー数が増える傾向にあります。
記事コンテンツの内容によりけりですが、この時間帯を狙い記事公開するのも手です。

但し、この時間帯には他社の配信も増えることから、競争率が高まり逆に埋もれてしまう恐れもあります。
そういった時は、午後3時台や深夜なども試すなどして自社のコンテンツの傾向を掴んでおくとよいでしょう。

広告枠の利用

外部配信先によっては記事ごとにその記事内容と直接関係のない広告枠を利用できます。
広告枠をクリックすることで自社サイトへの流入になるので、可能な場合は必ず利用しましょう。

関連する記事枠の利用

こちらも外部配信先によっては、記事ごとに関連する自社サイト内の記事へのリンクを利用できます。
外部配信先により1記事に付与できる関連記事の本数が違いますが、可能な場合は必ず最大数利用しましょう。

ロゴ画像に工夫を

ギブ配信先のユーザーが、その記事を気に入ると、もっと別の記事を読みたくなりその記事の配信元サイトへ遷移しようと思います。そこで押されるのがリンクのあるロゴ画像になります。

但し外部配信先の記事ページに表示されるロゴ画像が思ったより小さく、鮮明でないものが見受けられます。これは外部配信先に提供したロゴ画像の縦横比が掲載面の推奨縦横比とあっていない場合がほとんどです。

例えば縦横300pxの正方形のロゴを提供したとして、掲載先の推奨サイズが縦100px、横300pxの長方形だとします。

当然高さ100pxに収まるように縦横比率を保ったまま縮小されるので、横も100pxと全体に小さくしか表示されず、最悪ロゴ内の文字も読めません。

こういった事態にならないよう、掲載先の規格に合わせて、目一杯大きく表示できるよう縦横比をあわせてロゴを提供しましょう。
また、最近ではダークモード用に黒背景のロゴ画像を別途提供する場合もあるようです。

まとめると次のことが要点になります。

  • 記事コンテンツの公開(配信)タイミングを考える
  • 外部配信先に広告枠がある場合はできるだけ利用する
  • 外部配信先に関連記事枠がある場合はできるだけ利用する
  • ロゴ画像は外部配信先の表示枠一杯に鮮明になるよう提供する

cuerda™ プラグインを詳しく見る